温度計センサーとして用いられるものの一つに熱電対と呼ばれるものがあります。これは、二種類の異なる金属線を用意し、それぞれを両端どうしでつなぎ合わせて一つの回路としたものであり、構造だけを見ると極めて単純です。これがどうして温度計センサーに使えるのかというと、二か所ある接点について、互いに温度差があるとその回路に電流が流れるという物理的な原理があるからです。これを発見した物理学者の名前をとって命名されています。
誤解があってはいけませんので先に述べておきますと、これは決して永久機関ではありません。確かに電流は流れるものの、それは熱い側から冷たい側に熱が運ばれることに起因しています。つまり、この装置を他からのエネルギー収支が一切ない環境に置いておくと、熱い方から冷たい方に熱が運ばれ、最終的には接点間の温度差がなくなって電流も止まり、そこまでです。永久機関ではないということになります。
それはともかく、流れる電流は金属の種類と温度差によって決まっているので、予め金属の特性を把握しておきさえすれば、回路の電流を測定することで接点間の温度差を知ることができ、温度計センサーとして機能するわけです。知ることができるのはあくまでも温度差であって絶対的な温度ではありませんが、一端を予め温度が分かっているもの、例えば氷水に浸しておけばこの問題は解決できます。ちなみに流れる電流はかなり僅かなもので、通常は感電するようなレベルではありません。